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ブログ落語

寄席日記

寄席

寄席好きな人にとっては分かり切ったことですが、全く知らない人もこのブログに迷い込んできたと思って、この先を書きます。これは私の個人的な感想です。間違った情報もあるかもしれません。ご了承願います。

寄席は基本二部公演で昼の部と夜の部があります。特別興行を除けば一回の入場で一日中は居られます。昼の部だけで約20組の芸人が入れ替わり立ち代わり出てきます。一組15分位の持ち時間で芸を披露します。(ほとんどの芸人は一人ですが、漫才等の先生方もいるので組で表記しています)これが私のざっくりとした寄席の説明です。

私がこれまで過ごしてきた、寄席での思い出を書きます

落語家になり、師匠からある程度仕付けられ、本格的に芸を学んだ場所が寄席でした。楽屋で師匠方に気を配り、耳では生の高座を聞き、演者の代わり時には座布団を返したり、出囃子の太鼓を叩いたりと、全部を前座修行中にこなします。そして、初めてお客さんの前で落語を披露したのも寄席でした。前座は開演前に出番を与えられます。番組外なので芸がマズくても気にしません。

寄席は年末以外休みなく開いています。だから前座時分は毎日行かなければなりません。もちろん行きたくない日もありました。寄席に行かなくても師匠方が納得するような「途中で止まらねぇかなぁ・・・」そんな事を願いながら、電車の中で寝坊の言い訳を考えていたりしていました。

前座修行が終わると二ツ目という身分に昇進します。今までやってきた楽屋仕事から解放され、番組表には名前が入り、一人の演者として出番を待ちます。出番がある時間だけ行くので、毎日寄席に行くことからも解放されます。

二ツ目になった頃には、前座時分に経験させていただいた事や師匠方から学んだ芸が有るので、何となく形は出来上がります。そして、番組表には名前があるのでお客さんの反応に責任を感じるようにもなります。

寄席の雰囲気

寄席に来るお客さんは、寄席にしかない雰囲気を作ってくれます。「寄席が好きな人」、「お目当ての芸人を見に来る人」、「寄席から何かを学ぼうと来る人」、「寝に来る人」、「何となく寄席に行ってみよう‼というのが目的の人」。色んな思いが客席から感じとれます。

そんなお客さんの気持ちを一つにして、笑いを届けようと、芸人は日々励みます。

寄席のお客さんが厳しい時もあります。厳しい目を向けるお客さんに、どうにか反応してもらおうと、芸が乱れてめちゃくちゃになることもあります。だけど、寄席で受け入れられた芸は、他に行っても受け入れられます。

6月の浅草演芸ホールの思い出を書きます

6月の1日から5日まで浅草演芸ホール昼の部に出番をいただきました。主任が師匠楽輔。一門の弟子は皆、ありがたいことに番組に入れていただきました。主任はその番組の看板です。最後に出るトリを努めます。

お客さんは、看板である楽輔ひいてはその一門を目当てに、あるいは他の演者も豪華だったので、その人目当てに来てくれる方とで、連日、沢山のお客さんにお越しいただきました。僕は、こういうご時世だし(・・・関係ないか)寄席での出番が久しぶりの落語でした。

初日は寄席に行く前から、とにかく不安で緊張しました。寄席に行かなくても、お客さんや師匠方が同情してくれるような「このまま止まらずに2周位走ってくれないかなぁ・・・」そんな事を思いながら、山の手線に乗っていました。

そんな思いで舞台に上がると、お客さんは温かい拍手で迎えてくれました。気持ちが一気に入りました。この瞬間は、その日の落語に大きく影響します。この気持ちにお答えしたいと。

「お答えしたい」という思いはあるのですが、残念ながら芸が未熟で空回りしました。初日から五日目まで・・・。

五日間ある内の一日は何とか見せ場を作ろうと必死になり、持ち時間の15分を3分越えてしまいました。番組は終わりの時間が有るので、どこかで調整しなくてはいけません。その日は、あとの出番の京太ゆめ子先生に時間を削っていただきました。「すみませんでした」と、僕が謝ると「良いんだよ!お客さんは喜んでいるんだから!」と、京太先生は許してくれた上に励ましの言葉をかけてくれました。寄席は、沢山の先輩方にも助けられます。こういう御恩は、もうこの先、三か月位は忘れません。

トリに上がる師匠は、開演からの雰囲気を汲んで、五日間のトリを笑いあり、涙・・・は無かったけど、最後を占めました。その姿を舞台袖から、見とけばよかったです。

これから・・・

私はまだ、寄席のお客さんがどういう気持ちでいるのか感じ取れません。気持ちが一つになり、みんなが聞き入るような芸もありません。ですが、目指すべき所は、寄席の看板を背負う芸人になることです。まだまだ時間はかかりますが、今後とも寄席に出られた時は、温かくお迎えいただきたく存じます。そのために日々、稽古に・・・。稽古を・・・。

稽古なんてやりません!!

突然、申し訳ございません。ここまでダラダラとお付き合いいただいたにも関わらず、裏切ってしまい。最後は綺麗に占めようと思ったのですが、悪い部分が出てしまいました。私は彷徨っています。〝さまよいのめいらく〟です。

そう!〝さまよいケンちゃん〟です!

ごめんなさい。何でもないです。眠いし、クーラーが無いし、冷蔵庫には卵とマヨネーズしか無いし、そんな状態だからブログにやられたみたいです。

こんなブログなんてやらずに、まじめに稽古します。

寄席はたくさんの芸人が出てまいります。常連さんはこれからも、行ってみたいと思っている方は雰囲気を、お楽しみいただけたら幸いです。

最後に、ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。うまく伝えられなかったですが、私は寄席が大好きです。そして、寄席にご来場いただいてるお客様、寄席を支える活動にご協力いただきました方々に、この場を借りて深く御礼申し上げます。

スペシャルサンクス 蘭姉さん

上の写真は、本文で触れていませんが、浅草の初日に楽屋で撮りました。神田蘭姉さんです。「ブログを始めるので写真をお願いします」と言って、ツーショットを撮ってもらいました。これも寄席の楽屋の良いところです。町で偶然会って同じように声を掛けたら間違いなく気味悪がられます。欄姉さんは初めてお会いした時から美しい人でした。