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ブログ落語

師匠 柳亭楽輔

師匠との思い出ブログ

ブログ初投稿です。一本目は私が師匠楽輔に入門を認められて、芸名をもらった日の事を書きます。今から12年前の2009年6月の・・・。細かい日にちは覚えていません。ざっくりとした記憶になりますが、当時を思い出しながら書いていきます。最後までお付き合いの程よろしくお願いいたします。

2009年6月、私は26歳で師匠に入門を認められた。弟子入りして二日目のことである。師匠の家で着物をたたむ練習をしていた時に(見習い修行の詳細は追々書いていく予定です)「名前だ!」と、師匠が言うので着物のたたみを途中で止めて師匠の向いに座りました。

私の芸名の発表である。弟子入りして二日目にして芸名をいただけるとは思っていなかったし、何より着物が途中だし、正直「今⁉」と、心の中で思っていました。

師匠から芸名を付けてもらう。これは弟子入りして一番緊張する瞬間だし、楽しみでもある。自分でもどういうのが良いだろうと考えていたりもする。落語家は最初の内は前座だし、あまり期待しない方が良いだろうとも考える。いかにも前座っぽい芸名、楽輔の〝楽〟をもらって〝楽ぼう〟「柳亭楽ぼうです!」なんてヘンテコな芸名を付けられた日にはやってらんねぇなぁとも思ってた。

「おまえの名前は…めいらく」と、師匠が言う。「お前の名前の〝明〟と、俺の〝楽〟を足して明楽」(本名は明です)

親からもらった名前と師匠の名前をくっつける。「そんなパターンがあるんだ‼」全く想像していなかった芸名に「それめっちゃいいじゃん‼」と、心の中で思ったと同時に口から出てしまった。しかも、〝それ〟を表す人差し指を師匠に向けていた。興奮のあまり、師匠に無礼な態度をとってしまった。「終わったな…」と、頭に一瞬よぎった。しかし師匠は「いい名前だな!これは俺が付けた良い名前なんだから、真打になってもずっと変えるなよ!」と、言ってくださった。全く怒っていない。むしろ師匠もあまりの出来に少し興奮しているようにもみえる。私はホットした。終わったと思っていたら、まさかの真打になった事まで考えていてくれた。一生涯保障である。(本名と師匠の名前をくっつけるパターンがよくある事を、後で知りました)

最後に師匠は「明楽はいい名前だけど、お客さんから『めいわくだ!』なんて言われないように」と、冗談とも本気ともつかない言い方で命名の儀式は終わった。

「ありがとうございます。一生懸命頑張ります。」師匠にお礼言い、途中まで畳まれた着物を残し、その日は帰った。

あれから12年経ちます。師匠の愛情をたっぷりといただいて、何とか芸人っぽいことをやれています。そして、12年前の師匠にご報告があります。「どうやら師匠の不安が的中したようです」

つたない文章を最後までお付き合いありがとうございました。

あとがき・・・

師匠との思い出ブログは、師匠に見つかるまで続けさせていただきます。あと、上の写真は浅草演芸ホールの楽屋で、今年の6月1日に撮りました。師匠とのツーショットは多分入門して初めてです。師匠の笑顔はいつも素敵です。僕は写真が苦手です。撮影者は、一門の四番弟子である僕の弟弟子になります柳亭楽ぼうさんです。